第122回建築家との家づくり展

住宅は「人」や「生活」に関係しながら長く存在するリアルなものです。家づくりは、設計する人・注文する人・関わるすべての人たちの、その「時」の最大の努力による「ユメつくり」・「コトつくり」・「モノつくり」だと考えております。そんな思いで一つ一つ大切に永く愛される住まいを共につくりたいと思います。

住まい方は益々多様化し敷地環境もどれ一つとして同じものは有りません。住居空間が個性化するのは必然的なこと。私の設計理念はお施主様の多様な住宅観にフィットさせる事です。建築家の個性も「一方通行」だと誰の家だか判らなくなります。ヒアリングを重視しお施主様の立場で設計する、それが私の基本信条です。

その場所で、その家族がいつも心地よく、楽しく過ごせる家づくりを基本としています。家は買うものではなく、建主と設計者・工務店（職人）がいっしょになって作り上げていくものだと思っています。

心地いいと感じる住まいとは何でしょうか? 人が忘れかけている「五感」を刺激する様な空間を造る事が出来ればと思います。 シンプルにまとめた空間の中に気づく事がきっとあるはずです。

住まいは、気候・風土・文化に根差したものが良いと考えます。伝統的な建築物や民家をみてみると私たちの生活は、季節のうつろいに寄り添い、自然のめぐみと共にありました。時として自然は、心揺さぶる美しさを放ち、畏敬を感じさせる超越した力を持ちます。そんな心が充たされる住まいを設計したいと考えています。

人や物との出会い、コミュニケーションを大切にし、一緒に楽しみながらつくりたい。そこに住む人が心から癒され、楽しく笑顔の絶えない時を過ごすことができる空間.、そこに帰りたいと思える空間、人の記憶に残るデザインを創出してゆきたい。

たくさんの人たちとの出会いと関わりのなかで、様々な想いに触れて形づくられていく建築が好きです。佇まいや心地よさはもちろん、家づくりの道中のひとつひとつの出来事がそのお住まいの生まれた根拠となり、大切な記憶となるような環境までも、デザインしていければと考えています。

誰かの為のものではなく、そこに住まわれるご家族の為の空間を創造したいと考えます。よく話し、お互いをよく知り、可能な限りの時間を共有する事で生まれる信頼関係があれば、より良い家づくりに繋がると思っています。

クライアントと共に、住むということをちゃんと考えて家造りできた時に、はじめてクライアントが当初考えていなかった共感を呼び、生活している中で言葉にできない心地良さを発見できると信じています。